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中山可穂    「男役」(角川文庫)

レスビアンであることをカミングアウトした中山さん。この作品は女性の花園である宝塚を扱っているから、さぞいつもにまして艶めかしい世界が描かれているのではと想像していたが、そういう場面はでてこなくて、淡泊な作品になっている。

歌舞伎は男が女役に扮して演じ、宝塚は女優が男役に扮する、同性だけで演じる舞台。日本以外では無いように思う。

 宝塚の男役は徹底的に男に成りきることを目指す。だから男役トップスターになれば、他の女優から愛される的になる。男性に成りきっているから、30歳前後で引退した男役のスターは男性との恋ができず、寂しい人生をその後おくることになるとこの作品でも描かれている。

 この作品、かって「黒薔薇のプリンス」と称された宝塚の男役扇乙矢が、セリ上がりの途中で一緒に乗らねばならなかった相手役の娘を演じる女優チャメが乗ることができなくて、あわてて操作者が安全装置を起動させたが、働かず、乙矢が舞台とセリに挟まれて圧死してしまったことから始まる。
 そして、この乙矢がファントムという名に変わって、「オペラ座の怪人」のように、劇場に棲みつき亡霊となる。

 時は経て、ファントムが演じた「セリビアの赤い月」が、宝塚の男役トップスター如月すみれがサヨナラ公演と永遠ひかるが新人公演で演じられることになる。
 しかも永遠ひかるの祖母は、乙矢が亡くなった時、娘役を演じたチャメ。

チャメは、乙矢とともに宝塚を去り、その後50年間、宝塚の舞台は一回もみていない。
しかも現在は認知症も患い、普通の生活が営むことができなくなっている。

 この作品、少しひいてしまうのは、永遠ひかるが新人公演舞台でセリフを忘れ喋れなくなったときファントムが乗り移り永遠ひかるを救ってあげるところ。それから認知症を患っているチャメが家をでて、新幹線に乗り、宝塚までやってこれたところ。

 クライマックスのためには必要な場面とは思うが、すこしリアリティに乏しく無理スジだと思ってしまう。もう少し納得感のあるストーリーを創ってほしかったと思う。

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| 古本読書日記 | 06:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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