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加藤千恵   「あかねさす 新古今恋物語」(河出文庫)

新古今和歌集から加藤さんがインスパイアーされた作品から、掌編を紡ぐ。
 
 「おのづから いはぬを慕う 人やあると、やすらふほどに、年の暮れぬる。」
西行法師の歌である。
 こちらから言わなくても、会いたくて訪ねてくれる人があると思って、何も言わずにためらっているうちに年が暮れてしまった。

この歌にインスパイアーされて加藤さんが創った掌編。

 千尋ちゃんとは合コンでしりあった。職場も近かったし、読書が趣味というのも自分と合っていたので、メールアドレスを交換して、今度飲みにゆこうと言うと「いいね」と千尋ちゃんが返し、そしてすぐメールで誘い一週間目には2人で居酒屋で飲む。それから、月2回のペースで会っている。千尋ちゃんは、誘ったら必ずきてくれる。

 「年末年始休暇は地元に帰るの。」千尋ちゃんが言う。
 「あまり遊んでくれる人もいないし。」
 それで言う。
 「俺も寝正月になりそうだよ。」
 「そうだよね。やっぱりそうなるよね。」

これは一緒にいれるということだろうか。一緒にいたいということだろうか。勘違いだったら受けるショックは大きい。だからどうしても確かめることができない。

 千尋ちゃんとの付き合いはいつもこんな感じ。恋愛の話もする。映画や本の話。学生時代の話。仕事の話といっぱいするが、それが自分に対しての好意のサインになっているのかまったくわからない。

 こんな状態で正月メールがくる。
「あけましておめでとうございます。昨年はいろいろお世話になりました。また飲みに行きましょう。良い年になりますように」

一所懸命考えて返信する。
「あけましておめでとう。昨年はお世話になりました。今年もよろしくお願いします。また飲もう」

 わかるなあこの関係。おもわず笑ってしまう。

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| 古本読書日記 | 06:11 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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