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加藤千恵    「いつか終わる曲」(祥伝社文庫)

60歳も半ばを過ぎると、青春や思春期の頃の記憶が殆ど薄れ、思い出すことは無くなる。それが、ごく稀なのだが、甘酸っぱさや切ない香りを伴って心の底から飛び出してくるときがある。そんな時、必ず引き金になっているのが歌だ。そして、もちろん小さな声だが、通りなどを歩いているとき、知らず知らずのうちに口ずさんでいる。

 この作品は、そんなメロディーや歌詞をモチーフにして加藤さんが掌編を描いた作品集。

恋なのかわからないような中学生の初恋。それから、絶頂期の燃え上がる恋、そして別れの痛手。
 そして、障害があったり、勇気がなくて告白できずに終わったことを思い出し、もし告白していたら、今がどうなっていただろうと妄想する。

 真剣だった恋や愛の思い出を懐かしく愛おしく思い出していると言うより、あんなことができた、或いはできなかったあの時代全部を愛おしく抱きしめたいという気持ちが上手く表現されている。

 それにしても、私が浮世離れしているせいとは思うが、どの掌編にも動機として最初に歌詞が載せてある。その歌詞は加藤さんのオリジナルかと思った。そのうち、作者にスピッツとか小沢健二が登場して、ここに載っている詞は実在したものだと知った。

 私が住んでいる街の隣の地方都市でも、最近ライブハウスが増えた。いつか、表舞台にたつことを夢見て、CDを自主制作して頑張っている人たちが増えているのだろう。

 全く存じ上げない、バンド。この作品が発表されたのが2004年。今でも、ステージに立てているバンドはどれだけあるのだろう。全員今でも必死に頑張っていてくれたらいいのにと心から思ってしまう。

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| 古本読書日記 | 05:58 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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