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加藤千恵   「点をつなぐ」(ハルキ文庫)

主人公みのりは大手コンビニチェーン会社に勤めて7年、29歳の女性。

 会社に入り、店長としてあるコンビニを任される。社会に放り出されいきなり店長。経営もわからなければ、たくさんいるアルバイトの管理も難しい。バイトは頻繁にやめたり、突然休暇をとる。穴があくと、新人店長であるみのりが埋めねばならない。休日もしょっちゅう出勤となる。

 普通に働いていても朝の8時から夜9時までびっしり。体と神経が休まる時間が無い。それで通勤は電車を乗り継いで1時間。

 大学時代からつきあっている彼氏がいるが、デートの時間をとることが難しい。何回か断った後、やっとデートをする。その日だって、約束時間に遅れる。

 彼が言う。
「わかっていると思うけど、このままじゃ付き合っていけない。みのりはいつも仕事ばっかじゃん。みのりは俺との関係をどう思ってるの。」
 疲れ切っているからだは、もうそんなことどうだっていいじゃんと言っている。しかし、それでは申し訳ないので、
「いろいろ申し訳ないと思う。わたし余裕なくなっているし、約束はキャンセルばかりだし、遅れてはしまうし。」
「気付いてはいるんだ。」
「でも、お店のバイトが一人やめるし、まだ新しい子ははいってきてないし、時間を作ったりできない。もうすぐ学生は夏休み。そうなると、学生はバイトをしなくなり、余計にシフトも変則になるし。」
「それってもう直す気ないってこと」
「・・・・・うん。」

そこから、生産性の全くないやりとりが続く。
そして、最後に彼が言う。
「別れようか。」
みのりも「ごめん」と謝罪。それは同意したということ。こんなことより早く帰って眠りたい。
 別れに衝撃もショックも受けない。ただひたすら体を休めたい。

電通の過労死自殺した高橋まつりさんもきっとこんな状態だったんだろうなと思う。確かに、超過労は恋も愛もそして人間性も壊滅させ、最後には物理的に破壊する現実がある。

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| 古本読書日記 | 05:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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