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鴻上尚史   「ドンキホーテのリボン」(扶桑社文庫)

劇作家、演出家の鴻上尚史が雑誌「SPA」に連載していたエッセイを収録。

私の青春の頃は、もちろん電話はあったが、下宿や寮で一台。呼び出してもらって初めて電話にでる。
 またこちらから電話をしても、相手がいつもいるとは限らない。
こんな状態だから、だいたい愛の告白や、デートの時間場所を決めるのはラブレターの交信になる。

 電話をして相手が不在だったり、手紙を書いて返事がくるまで、大丈夫だろうか、どこへ行っていたのだろうか、デートの申し込みにOKと返事をくれるだろうかともんもんと一夜を過ごすことになる。

 ほぼ私と同世代の鴻上は、このもんもんとした時間が強い確かな恋や愛を育てるのだと言う。今は携帯の時代。すぐ結果がでる。そんな時代は、盛り上がるのも早いが消滅するのもあっけなく訪れると言う。

 何か古オヤジの、凝り固まった偏見に思えるが、そうだったんだよなあと懐かしさも同時に湧き上がる。

 最近の若い男優は、少し鴻上がきついことを言うと、人生が終わったかのようにしょ気かえる。どうして男はこんなに弱くなってしまったんだろうと嘆く。

 この男優が面白いことを言う。
同じことを女性に言われても平気だそうだ。
「女性はあけすけなく、年がら年中、きついことを言う。あんたといると本当につまらなくて死にそうとか、あんたなんか生きてる資格なんかないよなんて。でもいつも言われているから慣れてしまって平気。だけど同性にはそんなこと言われたことがないからやたら傷つく。」

 そうかねえ。女性に言われても平気なんてことは無いと思うけど。でもしょっちゅうだとしょ気てる時間も確かにない。

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| 古本読書日記 | 05:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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