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よしもとばなな    「すぐそこのたからもの」(幻冬舎文庫)

愛息チビちゃんとの、かけがえのない蜜月を凝縮した育児エッセイ。

チビちゃんを出産で取り上げたのは、ばななさんのお姉さんの友達の助産婦さんだ。

助産婦さんは、しょっちゅう産まれる前お腹にいるチビちゃんに話しかけた。
「ママは予定日の一週間前にコンサートに行くんだって、すごいね。でも、大事なコンサートみたいだよ。だから、それからちょっとしてから生まれてくると、いいのかもよ。」

 ばななさんとお姉さんは助産婦さんに言う。
「私たちでさえいろんないやな人に合うのだから『これからお産をするママたち』ばっかり扱っていたら、せっぱつまっている人たちばかりでつらいことばかり言ってたいへんでしょうね。」

 助産婦さんが言う。
「そりゃそうだけど、そうでもないよ。だって半分はいい人だもん。それで、赤ちゃんは全員いい人だから。つまり、いい人のほうがずっと多いんだもん。」

 よしもとさんは思う。
そうなんだ、あかちゃんはみんないい人なんだ。
産まれてくるときはみんないい人なんだ。

数え切れないほどたくさんの赤ちゃんをとりあげてきたこの人が言うのだから、きっとこの世界はいいところなんだと。素直にそう思うと。
 やさしく、暖かい、心のこもったエッセイだ。

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| 古本読書日記 | 06:35 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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