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長野まゆみ    「メルカトル」(角川文庫)

主人公のリュスは、生後まもないある晩に、とある港町の運河で発見された。流木に乗って漂っていたところを運よく通りがかりの船員にひろわれた。もっともこの船員はその時かなり酔っ払っていて自分ではとびきりの美女が運河で溺れていると飛び込んで助けたつもりだったのだが、実際には、朽ち果てた船首女神像を陸にひろいあげただけだった。その木像のウロにどこも傷つくことなく水にぬれもせずリュスはうずくまっていた。

 そしてリュスは、田舎の救済院に預けられた。誰からも養子として迎えられず、リュスは救済院で育ち今は17歳、一人でアパートで暮らす。

 そして現在は、港町ミロナの地図収集館に勤めている。

そのリュスに地図製作技師であるメルカトルという男から手紙が届く。これをきっかけに地図収集館にさまざまな女性がやってきて、リュスは色んな事件に巻き込まれる。本名ダナエ・ルーター、ショールの貴婦人、女優エルヴィラ・モンド、その女優と同姓同名で悩んでいる女性。それからエトナ夫人に、ハナ夫人。彼女たちに振り回されリュスは驚いたり、落ち込んだり。

 そして振り回されっぱなしの最後にエルヴィラがリュスに打ち明ける。
貴婦人もハナ夫人もエトナ夫人もすべてエルヴィラであったことを。

更に、ダナエや生意気な少年ミロルはエルヴィラの子供。何とエルヴィラはリュスの母親であることを告白する。そして父はリュスのアパートの部屋の階下に住むニキ氏だと。

 ニキ氏は映画監督をしていて、大根女優のエルヴィラに3人以上の異なった人に変化ができたら、今度の映画で主役で使ってやると宣言していた。それでエルヴィラが変装してリュスの前に現れたのだ。

 それにしても、ショックだったのは、リュスがエドナを好きになっていて互いに恋心が芽生えていたのに、兄妹では恋ができないじゃないかということ。でも安心。エドナは父親の連れ子でリュスとは血が繋がってはいなかった。

 長野さんは、少年を多く登場させ、透明感のあるファンタジーを紡ぐのが特徴だったが、この作品では一転女性をたくさん登場させているように見せかけている。少し今までの作品と色調が異なる。

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| 古本読書日記 | 05:54 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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