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篠田節子   「インドクリスタル」(上)(角川文庫)

主人公は山梨県で人工水晶を開発、製造する会社の社長の藤岡。社長といっても、娘婿で実権は義父が会長として君臨し、飾りに近い社長。

 そのため、海外にしょっちゅうでて、水晶の原石を買い付ける仕事を集中して行っていた。

 藤岡の会社では、惑星探査機用の超高品質水晶振動子の開発を依頼されていて、それに必要な透明度の高い天然水晶が必要であった。これまでは、ブラジルに天然水晶を求めて鉱山を回ったが、透明度の高い原石がまとまって入手できなくなり、新たな入手先を求めてインドの小さい村にやってきた。

 この村に入るところにある市の宿泊ホテルで、売春婦兼メイドをしている少女ロサに出会う。ロサは頭脳明晰で、特に一旦目にしたことはすべて即座に記憶するという特殊能力を持つ。
 このロサが藤岡とともにもう一人の主人公となる。

 ロサは村で、生き神さまにさせられ、その後当たり前のように男たちにレイプされ、売春婦に堕ちてゆく。

 藤岡は、ロサに強い個人的シンパシーを持ち、この素晴らしい頭脳を底辺社会に埋もらせるのはもったいないと考え、何とか彼女の今の環境から脱出させることを試みようとする。

 それに対して、最初の水晶発掘の商売相手となるチョードリーが言う。
「子供の娼婦救済組織があることは私も知っている。この国の文化を知らない、欧米流の理想主義だ。再教育など役にたたない。彼女たちはいったい何を学んで故郷にかえるというのだ。そうして少女たちを故郷に戻せば、それがNGOなり慈善団体の実績になる。しかし田舎では一度売春婦になった女は、永久に売春婦だ。もどったところで村に入ることはできない。結婚はできず、仕事はなく、家族にとっては恥さらしだ。即座に追い返され、生きる場など故郷には無いことを知る。そうしてバスと鉄道を乗り継いで、また都会に戻ってきて、元の仕事に就く。娼婦は娼婦以外のなににもなれない。娼婦に限らない。人生とはそういうものだ。」

 このインドを覆っている強烈な重圧から果たしてロサは脱却できるか、そんな関心を抱いて下巻に読み進む。

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| 古本読書日記 | 05:45 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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