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栗原裕一郎 豊崎由美   「石原慎太郎を読んでみた 入門編」(中公文庫)

書評家の栗原祐太郎と豊崎由美がライブハウスに集まった参加者を前に、石原慎太郎作品を語り合う対談集。おまけに、石原を交えた対談も最後に添えられている。

 のっけから、豊崎の石原大嫌いから始まり、雰囲気は石原を評価しないという雰囲気。石原批判の対談と思ったら、段々雰囲気が変化し、石原を評価する論調に変わる。

 私は石原の小説は面白いと思う。何しろ態度が傲岸不遜でいつも人を馬鹿にしているような言説をするから、敵や嫌いな人は多い。そのため損を石原はしている。

 芥川賞を受賞した「太陽の季節」。それまでは芥川賞はそんなに有名な賞では無かった。石原のこの作品は、完全に払しょく。芥川賞を大メジャーな文学賞に変貌させた。

 中学校のとき、この作品を読み唖然とさせられた。まだ戦後の匂いがわずかに残り、貧乏暮らしが世の中当たり前のような世界なのに、あまり自分と年が変わらない青年男女が、銀座で大金を無造作に払い、バーやダンスホールで踊り狂う。愛があるのかどうかわからないのだが、肉体関係をゲームのようにもてあそぶ。豪華ヨットで葉山の海岸でクルーズをして遊ぶ。

 こんな、皆暮らしに汲々している時に、金にあかせて遊びまくっている若者がいることに信じられない思いを抱いた。

 石原の衝撃的「太陽の季節」。ただ、石原は思ったら何でも喋りたい性格。それで、やたら思いついたことを書きすぎるところが多く、少し入り込むことができなかったが、その後にでた「幸福の遊戯」は事象だけを淡々と描き、想いの表出がなく、本当に素晴らしい作品だった。

 「憎悪の狙撃者」ノンフィクションノベル。警官から銃を奪い、その警官を殺し、更に銃砲店にたてこもり、警官や民間人に発砲した事件の小説。
 この小説、法廷で、裁判長から犯人が尋問される。

 悪いことをしたと思うかの問いに「思わない」と答え、じゃあいいことかね。という問いに「いいえ」と答える。じゃあどうして人を殺したのかと聞かれ「僕はしたいことをしただけ」と答える。

 「太陽の季節」で放埒、わがままし放題の若者を彷彿とさせる殺人者の答え。こんな殺人者が今はたくさんいるように思う。

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| 古本読書日記 | 06:31 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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