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堀川アサコ  「おちゃっぴい 大江戸八百八」(講談社文庫)

江戸で起こる不可思議な出来事の真相解明に挑戦する3人の仲間が活躍する連作中編集。

日本橋のど真ん中の大通りに大きな店を構える薬種問屋、結城屋にはお屋敷と3つの蔵がある。その庭の先に太郎塚といわれている謎の塚がある。

 巴が師範代になっている剣道場六道館は、道場とともに身寄りのない子供を引き取って育てている。その道場で育てられていたシゲが結城屋にゆくゆくの後継者として養子として引き取られる。不思議なことだが、シゲは引き取られると同時にシゲから次郎と改名させられる。何故太郎でないのか。

 実は結城屋の当主は由十郎というが、その前は由十郎の兄長兵衛が当主だった。長兵衛は天才的発想で店を発展させた。加えて遊びも熱心で女もたくさん抱えていた。才気あふれる長兵衛は、秩父の山奥の洞穴に生きミイラがいて、このミイラの体を煎じれば不老長寿の薬ができると信じ、洞穴にでかける。この洞穴で怪物の猪に襲われ大けがをして、店に逃げ帰る。大けがをそのまま放っておくと長兵衛は死んでしまう。

 その時、奉公人の与茂治が薬を長兵衛にさしあげ、長兵衛はその薬により健康な体を取り戻す。ところが、この薬、児干という薬。長兵衛には妻シゲから生まれたばかりの赤子があった。その赤子を殺して、子供の体を煎じて作った薬だったと与茂治が告白する。

 これに大ショックを受けた長兵衛は気が狂い、死んでしまったような人間に変わる。太郎塚は、殺された長男のための塚だ。

 こんな展開から、生きミイラが秩父だけでなく高尾をはじめあちらこちらに現れ、長兵衛の霊にとりつかれた不気味な行動が重なりホラーの雰囲気満載で、最後にはとんでもない事実に向かって物語は進む。

 この物語連作集、発想は面白いのだが、巴が愛している靑治、巴を想っている桃助の関係の実際が殆ど描かれず、肝心な3人が物語でうまく立ち上がってこない。人間の作り方に失敗してしまっている。

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| 古本読書日記 | 05:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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