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山本甲士    「運命の人」(小学館文庫)

高倉健、鶴田浩二、池部良3人が銀幕で活躍した「昭和残侠伝唐獅子牡丹」や「網走番外地」、東映任侠映画シリーズは私の大学時代人気の頂点に達していた。私の大学の近くに伝統的な温泉場があり、当時は藤純子が高倉健に代わり主役を張る「緋牡丹博徒」シリーズが全盛で、そのロケが行われ、寮生の多くがエキストラで温泉旅館まで大挙して行ったことを思い出す。

 この作品で描かれているが、みんなが高倉健に憧れていた。「網走番外地」は高倉の魅力いっぱいの男の美学が映画全体に迸っていた。これに期待して「続網走番外地」を楽しみに観に行ったが、前作とは全く関係がなく、すこしコメディタッチで驚いた。

 何とあの高倉健が女性用下着の露天商をやるのである。

まずは通例の仁義である口上を通した上で、販売をはじめる。
「ご通行中のみなさま、私はこの度、USAはニューヨーク、○○パンティ社の大日本代理店に指定されましたXX商会の出張販売員でございます。どうぞ、お手にとってよく御覧なさい。見たから触ったから買ってくださいなんてケチなことは言わないよ。」
 と言いながら、いかに強いパンティであるか示すために、パンティを横に引っ張るとビリっと破けてしまう。健さんにはそぐわない演出に笑ってしまったことを思い出す。

 学生時代はまだ学生運動が華やかにおこなわれていた。東映の任侠シリーズは権力側の映画にも拘わらず、活動家にも大人気だった。

 映画が始まると、大きな拍手がたたかれ「待ってました」と声がかかる。健さんがクライマックスで登場すると観衆が総立ちになり、健さんに「行け」「やっつけろ」とシュプレヒコールが起きる。

 驚くのは、映画が終わった後、皆が居残って、映画について議論が始まる。結論がまとまらず平行線になると、最後にまとめ役が登場して「それは、健さんにどうするかまかせよう。」といってお開きになる。そして、夜明け近い町を肩を組んでみんなで「網走番外地」を歌う。

 この作品はそんな青春の一コマを思い出させてくれる。

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| 古本読書日記 | 06:07 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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