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有川浩    「キャロリング」(幻冬舎文庫)

私が前勤めていた会社で私の部下同士が、結婚をした。
女性は頑張り屋で、どんどん前に進みエネルギッシュ。相手の男性は、仕事が決してできないわけではないが、気立てが優しく、少し積極性に欠けていた。

 女性社員は、その頑張りで海外の仕事をこなし、出張も多く、管理職にも登用され、期待される存在になった。

 しかし、相手の男性は、あまり陽の当らない部門を転々とし、くすぶったままの会社人生を送っている。会社ばかりが人生ではないのだから、家庭はうまくいっているとは思うが、この作品を読むと少し心配が頭をもたげる。

 この作品に登場する小学生航平の両親の状況が私の元部下夫婦に似ている。同じ職場結婚。

 母親は、有能で仕事もでき、海外転勤まで決まっている。比較して父親は全く仕事ができず無能よばわりされている。それに嫌気がさして、父親は会社をやめ、家をでる。そして、横浜の整体院に弟子入りして、整体で再出発を図ろうと安い給料で働く。

 両親の離婚を食い止めたいと願う息子の航平の物語風日記が挟まれる。なかなか、子供視点での物語はありそうでない。結構新鮮に感じた。

 また、生まれながらに希望や夢とは無縁な人たちがいることも深く認識させられた。風俗などで働かされている人たち、暴力団の下っ端でうごめく人たち。もちろん、自業自得でそこに入り込んでしまった人もいるとは思うが、生まれ育った条件、環境が、そんな底辺でしか生きることができない人たちが多い。

 主人公の俊介もそんな環境で生まれ育ったが、他に登場する同様な環境下の人たちと違って英代というおばさんに恵まれて、夢、希望を持てる人生が送れた稀な存在。

 しかし、底辺に這いつくばって生きている人々が、何とかそこを脱出するために、犠牲になって後押ししてくれるのも、同じ底辺にいる仲間。一見悲しく思えるが、後押しする人たちの気持ちは熱い。そんな後押し役の風俗嬢のレイ、登場はあまりしないが、とても印象に残った。

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| 古本読書日記 | 06:11 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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