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小松左京    「アメリカの壁」(文春文庫)

SF短編集。

本のタイトルになっている「アメリカの壁」。
物語が創られたときは、アメリカがベトナム戦争に負け自信喪失の時代。もはや、アメリカが世界の問題を解決にリードしてゆく時代は終わった。それでアメリカは極端にモンロー主義におちいる。

 そんな時、アメリカの周囲が雲の膜に覆われ、完全にブラックアウトが起きる。交通も通信もすべて遮断される。軍が雲の正体を調査にでかけるが、雲に入った途端、引き返してきた軍機は一機もない。

 それでも、アメリカには資源もあれば、耕作地もあり、何でも生活用品は生産できる。他国に頼らなくても、アメリカは生きていけるし、繁栄も享受できる。

 何か最近のトランプの言う「アメリカン ファースト」を地でゆくような小説。果たしてそれは可能なのか?

この作品もそれなりに興味が沸いたが、2作目の「眠りと旅と夢」が面白かった。
南米でミイラが発見されることはそれほどめずらしくない。

 コロンビアとペルーの国境地帯で鉱物探査をしていたアメリカ 「バーディ開発」のリーダーマイケルがピラミッドを発見。そこを発掘すると、3体のミイラがでてきた。しかもその3体が1000年以上の時を経ているにも関わらず、生きている。2体はぞんざいに扱ったため死なせてしまったが、一体は生きて棺にはいったままフロリダの研究所まで移送される。起きてはならないことが起きると、どう対応してよいのか、わからない。その部分も面白いのだが、マイケルが棺と一緒に寝たところ、夢のなかに生きているミイラがでてくる。

 ミイラが怒る。「私の旅を邪魔しないでくれ。」と。
マイケルもミイラと旅をする。そして、宇宙のはてまでやってきている。

 ミイラが言う。
「ここにもうひとつ太陽系もどきをつくっちゃおう。」と。

なるほどと思う。この太陽系もミイラが作ったのだ。万物の創造主は神ではなく、ミイラだった。いや、ミイラこそ神であったのだ。

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| 古本読書日記 | 06:06 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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