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アンソロジー    「文芸あねもね」(新潮文庫)

3.11のあと「今、自分たちができること」をテーマに10人の女性作家が紡ぎ出した短編集。

 3年前、友達と秋田に旅行に行った。2008年突然休筆宣言をして、故郷湯沢に帰ってしまった大好きな作家豊島ミホの故郷を見てみたくなったから。で、この作品集、3.11以降に作家たちが執筆した作品集。それに豊島ミホの作品が収録されている。ということは豊島さんは復活したのだとわかり、うれしくなる。

 今の作家は、やはり東京を中心とした大都会に生まれ育った人が多い。もちろん地方出身の人もいるけれど、やはり地方の田舎でなく都市で生まれ育っている。

 過疎でじいさん、ばあさんしかいない部落でも、わずかだが生まれ育つ子供たちがいる。豊島さんもそんなところで生まれ育った。その村では優秀な子だったかもしれないが、横手市の高校に入学すると、優秀が平凡に変わり最後はスクールカーストの最下層にされ、保健室登校になり、大阪まで失踪する。

 横手の高校をでて上京し、早稲田大学にはいる。早稲田大学といっても、二部夜間学生である。

 そんな中、「青空チェリー」を執筆。第一回女による女のためのR-18文学読者賞を受賞する。それなりの偉業で、当時豊島さんも胸を張ったのではと思う。

 しかし翌年同じ早稲田のちゃんと昼間通う大学生綿矢りさが芥川賞を獲る。美貌もあいまって綿矢は時代の寵児となる。

 豊島さんは多分、この綿矢をみて心が折れてしまったのではと思う。そして、休筆宣言。

年寄しかいない田舎で育ち、そこから街や都会を知り、蔑まれ、救いようのない孤独感に襲われる日々。そんな豊島さんの心の叫びを真摯に綴った作品は深い感動を私に呼び起こした。

 収録されている豊島さんの作品「真智の火のゆくえ」の主人公真智と才能が光輝いている高間恭子が酔って2人でタクシーの中での会話するシーンが心に痛い。

 主人公真智が美大へ入学したとき、家族だけでなく、それまで久しく音信が無かった人たち同級生から、祝福の声があがった。
 しかし、大学には高間のような才能あふれた学生がいる。真智の存在など虫けらのようなもの。それでも、強く生きて行こうと頑張ってはみたものの、折れて、タクシーで高間によりかかりながら「大学をやめる」と真智は高間に言う。涙があふれでる。

 真智が豊島さんで、高間は綿矢りさなのだろうということわかる。

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| 古本読書日記 | 06:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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