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森美樹    「主婦病」(新潮文庫)

一見普通に見えるが、内実は欲望や、嫉妬、猜疑、そして諦めが渦巻く、主婦病という病を患っている女性たちの連作短編集。

父である暁は家の一室を使って「羽根田整体院」を営んでいる。主人公の絵子は小学六年生。
母親の美緒が、電信柱に車をぶつけ、その事故(自殺かもしれない)で亡くなってしまう。

庭で遊んでいると、春枝おばさんと父の会話が聞こえてくる。
「あなたも再婚したらどうなの。絵子も難しい年ごろなんだから。」
絵子は自分が難しい年ごろというのがわからない。だからおばさんに聞く。おばさんが答える。
「人に難しい年ごろも易しい年ごろもないね。ただね、子供の世界には、良い世界と悪い世界しかないけど、大人の世界にはもうひとつあるの。」
そのもうひとつは「そのうちにわかるよ」と言っておしえてくれない。

 母親が言っていた。
通ってくる患者さんのなかに、全部脱ぎ捨て全裸になって整体施術を受ける人がいると。全部脱いだほうが、施術効果が全身にいきわたるだからそうだ。

 絵子の家の庭には、母が植えた大きな無花果の木が、施術室に面してある。
ある日、絵子が無花果の木で遊んでいると、春枝おばさんが施術室に入ってきて、いきなり全部を脱ぎ捨て、タオルをまというつぶせになる。施術に力が入り、父の手がおばさんの胸をもみしだく。その後は見て入れなかった。お母さんもこの無花果の木の横で同じことを見ていたのだと思った。

 母親が亡くなり49日が過ぎる。父親が言う。
「一緒になりたい人がいる。」絵子は答える「いいよ。」と。

絵子はしみじみと思う。
 良いとか悪いとかでない。難しいとか易しいのではない。
「仕方なかったんだよね。」 

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| 古本読書日記 | 06:29 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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