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坂木司    「切れない糸」(創元推理文庫)

大学卒業を目前に控えた主人公 新井和也は、何かをやりたいわけでもなく、そのまま就職戦線に突入、89社も受けたのに就職はできず、そのまま実家がやっていた「アライクリーニング店」で働きだす。その直後に父親が脳溢血で亡くなりクリーニング屋を引き継ぐことになる。

 衣類の集荷、お届け作業をしていく。その中で預かった衣類から思わぬ謎が潜んでいることに気付く。その謎の真相をおいかけ解明する中編集。

 こんな物語を読んでいると、これだけ世の中個人情報保護が叫ばれ、個人についての問い合わせなど、何をやっても阻止される現在、なるほどクリーニング屋というのは、預けた衣類により、個人情報が赤裸々になっている、思わぬ事実に驚く。

 色んな謎を見事に解いてゆく、和也の友人沢田が言う。
「だって、何百着っていう服を預かって洗ううちに、クリーニング屋は恐ろしいほどの個人情報を手にいれることができるんだぜ。ここの家は何人家族で、太ってるか痩せてるか、子供がいるかいないか、ポケットの取り忘れたレシートを見れば、昨日どこで飲んだのかもわかる。」

 和也の父親が、会う人ごとにおべっか愛想を振りまく。それを和也は嫌な態度だと思っていた。それについても沢田が言う。
「客のプライベートを全て掴むような立場の人間が愛想良く振舞わなかったら、客は不安になるんだよ。こんな人、自分の家に上げていいのかしらって。」

 我が家がクリーニングをお願いしているクリーニング屋のおばさん。結構、世間話が好きで、よく客と長話をしている。
 この本を読んでいると、我が家の情報も世間話の材料にしているのではと、少し心が暗くなる。 

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| 古本読書日記 | 06:41 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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