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坂木司      「動物園の鳥」(創元推理文庫)

ひきこもり探偵シリーズ完結編。

中学生のとき、鳥井信一はいじめっ子谷越に徹底的に標的にされ、孤立し、そのため成績は優秀だったのだが、登校拒否に陥ってしまった。同級生だった坂木は、谷越とは対決は避けたが、鳥井を支えてあげようと、鳥井の家にしばしば通い、ひきこもりになった鳥井を何とか外出できるようにまでしてあげようと支援し、それで鳥井と親友になる。

 近くの動物園で野良猫を虐待する犯人を鳥井と坂木が突き止めようとしているとき、いじめっ子だった谷越と十数年ぶりに出くわす。谷越はいじめっ子のイメージとかけ離れたビジネスマンスーツ姿。猫虐待の犯人が谷越であることを突き止めた鳥井の谷越を追及する言葉が胸を刺す。

 聞こえの良い大学、誰に言ってもわかってもらえる会社。谷越はこの基準が生きる道として選択してきた。それはまあそれでいい。お前の困ったところは、それ以外は否定するところだ。有名じゃない大学は価値がない。そしてその道からはずれた道を歩んでいる者はすべて大馬鹿者と見下すところ。

 事実、久しぶりに鳥井と坂木に会ったたき、谷越は彼らに今何をしているか聞く。そして、鳥井がひきこもり、坂木が外資系保険会社員であることを知り、自分のほうが勝っていると思い、卑下した言葉を投げつける。

 そんな谷越も最初に入った会社をリストラされ、プライドがズタズタのなか、屈辱一杯で動物薬の会社の営業マンをしている。その屈辱が猫虐待につながる。

 もう一人、動物園でボランティアをしている松谷という女性が登場する。

松谷はいつも、私は将来「ペットと一緒にくつろげるカフェ」をするのが夢と眼を輝かして微笑みながら言う。しかし、仕事は雑貨屋でアルバイト。夢を叶えたいのなら、調理師免許を取るとか、飲食店経営の許可証を取得するとかボランティアなどしてないでやるべきことがあるはずなのに、甘い顔だけして何もしようとしない。誰でもが羨ましいねと思うことしか言わない。

 学生時代、ケーキばかりを食べていた松谷。となりで喋っていた人たちの「アイスクリームがいいね」という言葉を耳に挟んで、翌日からアイスクリームばかりを食べ始める。

 松谷、谷越2人の行動。そうだ、そうだと思わず大きく頷く。

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| 古本読書日記 | 05:46 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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