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堀川アサコ  「これはこの世のことならず たましくる」(新潮文庫)

優しかった亡くなった夫に会いたいがため、盲目の千歳がイタコになる。その千歳の周囲で巻き起こる不思議な事象を扱う、イタコ千歳シリーズの第2弾。4編の物語が収録されている。堀川さんが生まれ育ち、今も住んでいる青森に土着した物語。なかなか物語は北の地である青森を熟知していないと理解するのは難しい。

 舞台は昭和6年の青森。昭和6年というのは、昭和大恐慌の時代、まだ関東大震災の記憶も生々しいし、こつこつと戦争の足音が近付いてくる時代。こんな時代は、過去の忘れ去られた怨念や恐慌の記憶がふつふつと呼びさまされる暗さが増してくる時代。そんな過去を呼び覚ます役割を演じるのがイタコ。

地元の大屋敷大柳家に女中として働いているシエの物語は、読んでいると、陽炎のように右に左に揺れ動き、しかも中身は暗い。何が起こったのか揺さぶられながら、物語とおなじように私も影も形もなく消失してしまったんじゃないかという気持ちさせられる。

シエの屋敷に小学校の同級生だった栄子が訪ねてくる。その栄子は、同じ同級生で美少女で誰からも好かれていた花枝そっくりに変わっている。

 当時、シエは花枝に憧れていたが、それに対抗していたいじわる栄子に引き入れられていた。その栄子に、栄子が持っている白い虫を飲めば願いが叶い、好きな人と添い遂げられると言われ、栄子に虫を飲むように強制される。断り切れず、飲もうとしたが、袖口に落として飲むことは逃れた。

 その日の翌日花枝が、白い虫を吐き出したと思ったら倒れ、そのまま亡くなる。
栄子によれば、お腹に宿った虫は、願いが成就すると、お腹の中を食い尽くし、宿主を殺すと言う。

 そして、シエが虫を飲むとき、大柳家に出入りしている寛七が大好きと栄子に告白していたその記憶、また花枝が死んでいた記憶は全く失念していた。

 栄子は、花枝を思い出させる容貌になっていたことを見せつけ、過去の記憶をシエに思い出させた翌日亡くなってしまう。
 栄子は本当は花枝だったのでは?じゃあ死んだはずの花枝は栄子?読んでいるだけでどことなく不気味でくらくらしてくる。

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| 古本読書日記 | 06:06 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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