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坂木司    「仔羊の巣」(創元推理文庫)

昨日の新聞では、47歳のひきこもりの息子に、85歳の父親(母親はいない)が、今後の息子の人生を悲観しているが、どうにも打つ手が無いという嘆きを特集していた。更に今日の新聞では政府が今までひきこもりの状況は35歳以下について調査はしていたが、来年から45歳から59歳の引きこもり実態も調査するという記事がでていた。

 引きこもりが社会問題として、一般化したのだという感慨を持った。

この作品集は不思議だ。名探偵の役割をするのが鳥井信一という20代の青年。それにワトソン君の役割を演じるのが主人公の坂木。坂木は、何としても友人の鳥井君がひきこもりを脱するように、ちょっとした不思議な出来事があれば、彼の部屋に話に行く。更に、彼をひきこもりにさせないよう、自分の仕事や付き合いを犠牲にしてまで、彼に尽くそうとする。

 ひきこもりというのは、世間からみると、甘え、堕落人生とマイナスなイメージで捉えられる。

 古今東西ミステリーでの名探偵に欠陥人間というのは多い。しかし、それは治癒したり矯正不能のレベルの人間ばかりで、読者はその名探偵のあり様を仕方ないもの、むしろだから身体のハンディキャップや性格の悪さと天才推理力のギャップに驚き称賛をおくる。

 しかし甘えているように思えるひきこもりと、人生を無駄にしても何とかひきこもりから脱出させることを糧としている主人公とのコンビはなかなか一般読者からは受け入れられることは少ない。

 なぜこんな不可思議なコンビを作者は創り上げたのだろうか。

 しかし、そもそも事件というのは、動機、行為とも極端な歪みから生じている。この作品の利明が土屋君に抱いた恨み、それに伴う行為は異常だ。

 作者、坂木は異常は異常を持って制する。毒は毒を持って制することがリアリティがあると信じ、この作品を創っているのかもしれない。

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