FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

田中慎弥    「宰相A」(新潮文庫)

正直、田中の芥川賞受賞作品「共喰い」を読んだとき、よくこれで芥川賞がとれたものだと不思議に思った。頭のなかで、それも小さい世界で、こねくりまわし書いた作品。これでは読者はつかず、早晩消えていってしまう作家だと思った。田中は引きこもりで社会との交流を遮断している人だと当時知り、作品を読んでむべなるかなと感じた。

 しかし芥川賞というのは大きな賞だ。この作品の解説を読むと、全国版では無いが朝日新聞に政治論評や、同様な論文を山口新聞に寄稿しているし、下関で行われたパーティでは安倍首相とも言葉を交わしているのだそうだ。
 

タイトルの宰相Aは安倍首相のこと、あるいはヒットラーを指すと田中は言っていた。とこの作品の解説者が言っている。

その宰相の言葉
「我が国とアメリカによる戦争は世界各地で順調に展開されています。いつも申し上げる通り、戦争こそが平和の何よりの基盤であります。戦争という口から平和という歌が流れるのです。戦争の器でこそ中身の平和が映えるのです。戦争は平和の偉大なる母であります。両者は切っても切れない血のつながりで結ばれています。健全な国家には、健全な戦争が必要であり、戦争が健全に行われてこそ、平和も健全に保たれるのです。」

 結構ブラックユーモアが効き、きつい言葉である。

小説は、こんな言葉があるにも関わらず、その言葉が生かされず、中味の薄い小説になってしまっている。

「共喰い」同様、頭でこねくりまわしているだけ。「共喰い」で感じた印象をそのまま私はこの作品を読んだ後でも引きずっている。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ



| 古本読書日記 | 06:01 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT