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坂東眞砂子    「異国の迷路」(新潮文庫)

坂東の原点ともいえる初期の短編集。

今主人公はミラノの駅で出張から帰る夫を待っている。反対側に列車が止まっている。ロンドン発イスタンブール行きだ。その列車をみて20年以上も前、バックパッカーとして、ロンドン行きの列車で一人で旅行していたときのことを思い出す。

 ローザンヌから乗ったロンドン行き列車は少し混んでいた。席を探していると、アラブ人夫婦だけが入っているコンパートメントをみつけ、夫婦の了解をとって一緒のコンパ―トメントで席をとる。

 長い時間がかかる。それでポツン、ポツンと話がはじまる。

夫が「女性一人の旅行などアラブでは考えられないことだ」と言う。では、奥さんは毎日何をしているのかと聞くと、一日家にいて夫を待っている。夫が帰ると身の回りの世話をして、夫の仕事のことや、愚痴や泣き言を黙って聞き続ける。それが、妻の喜びであり、幸せな夫婦なのですと言う。

 イスラム教では4人まで妻を持っていいことになっている。この夫も妻以外に別の妻を持っているという。妻の了解を得て別の妻をもつ。「でもそれじゃあ奥さんも嫉妬や不満がでるのでは。」と奥さんに向かって言うと、妻が喋ろうとするのを夫が引き取って

 「夫にも暮らしにも満足している妻は、嫉妬などという思いがでることは無いのです。」
夫が妻をみると、そうなのよという風にだまってうなずく。
 そこから色んな話題がでるが、喋るのは常に夫だけ。うるさいくらいにペラペラしゃべり続ける。その間妻は静かにずっと黙っている。

 そして今、よくしゃべる、うるさい男だったなあと思い出している最中、列車が止まり出張をしていた夫が降りてくる。そこから主人公は、夫不在の最中あったことや、思いつくことをのべつまくなし喋る。

夫は全く口がはさめず「うん、うん」を繰り返すだけ。
 主人公は、夫というのは妻のお喋りを黙って聞いているのが一番とそれ以来思っている。

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| 古本読書日記 | 06:12 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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