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夏川草介    「神さまのカルテ0」(小学館文庫)

信濃大学医学部を卒業した主人公栗原一止は、信州松本が大好きで、今は地域随一の総合病院本庄病院で研修医として働いている。指導医は大狸先生こと板垣先生。

 そんな栗原のところに、嘔吐が激しく本庄病院にかつぎこまれ救急部で診て、そのまま病状が改善されるまで一時入院の患者がかつぎこまれた。大狸先生は担当として栗原を指示する。

 患者は国枝正彦、72歳。

翌日には、体調も回復し、退院しても良い状態になったが、念のため胃カメラの検査をする。栗原研修医として初めての体験。カメラに真っ赤になった病変が写る。栗原は胃潰瘍と診断したが、大狸先生は「馬鹿、胃がんだ。」と答える。

 しかも、更に検査を行うと、身体のあらゆるところに転移していて、とても治療が望める状態ではないことがわかる。大狸先生は栗原が担当なのだから、患者への説明は栗原がしろと命じる。

 国枝さんは妻とともに懸命な栗原の説明を聞き、抗がん剤治療を開始する判断を一週間待って欲しいと答える。しかし、一週間たっても国枝さんは外来にやってこない。

 心配になり栗原は、国枝さんの家を訪ねる。国枝さん夫妻は恐縮する。そして一か月後に娘が結婚する。その晴れの舞台にどうしても出席し、娘を送り出してあげたい。しかしガン治療を始めると、出席できない。だから、一か月後から治療を始めたいと栗原に言う。栗原が一か月治療を止めると、その間に病状は悪化して、結婚式にでられないこともあるというが、それでも構わないと国枝さんは言う。

 国枝さんは、かっては教師をしていて、大の読書家。家にもものすごい数の蔵書がある。

そして言う。
 人間はそれぞれに一つの人生しか歩めないが、本にはいろんな人生が書かれている。本を読めば、たくさんの人生を経験する。それにより、相手のことがわかるようになる。相手のことがわかるということが優しさである。優しいということは弱いといことでなく、相手の気持ちがわかることなのだ。そして栗原にきっぱりと言う。

 「あなたは優しい」と。

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| 古本読書日記 | 06:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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