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坂東眞砂子    「葛橋」(角川文庫)

3篇収録の中編作品集。
本のタイトルにもなっている「葛橋」が最も面白い作品なのだが、エロチック過ぎて書評にはできないので次に面白い「恵比須」をとりあげる。

 主人公の寿美は、子ども2人と舅、姑、夫との6人家族。舅は元漁師。夫は役場に勤めていたが変わっていて役場をやめ今は漁師になっている。寿美は、漁港近くにある食堂にパートで勤めている。

 ある日寿美が食堂にでかける途中で、西瓜ほどの大きさで白っぽく、くねくねした形をしている卵の白身のようなものを拾う。
 家にもちかえると、舅がそれは鯨の糞だという。何だ糞かと思い捨てようとすると舅が捨ててはいかん、神棚に飾れという。鯨の糞は、恵比須と言われ家に幸福をもたらすものだからという。

 娘の克子の学校で3者面談がある。何ごともなく平穏に終わったとき、机に置き去りにされている「原色鉱物図鑑」が寿美の目に留まり、担任の清原先生が理科の先生だったことを思い出す。

 それで寿美が得体のわからない拾い物について清原先生に尋ねる。清原先生は物の形状など詳細を寿美に聞く。そしてそれは「龍延香」ではないかと言う。「龍延香」はレア物資で、高級化粧品に使われる。値段は金と同じくらいすると言われていると言う。

 家に帰り夫の勝彦に言うと、金と同じなら1億円、少なくても5千万円はするだろうと夫が言う。あれを買おう、贅沢しようと夢は広がるのだがどうやって売り先を見つけたらいいかわからない。

 化粧品会社に問い合わせする。するとキロ100万円が相場と言われるが、化粧品会社は個人からは購入しないと言う。キロ100万円。寿美の拾った物体は重さ8.7KG。ということは870万円。一億円からはどえらく下がった。それでも大きい金額である。

 寿美は骨董店が引き取ってくれるのではと思い高知市の骨董店に片っ端から電話する。3軒目の巴屋で反応がある。それで、物体を軽トラに積んで巴屋までやってくる。巴屋の主人は引き取るが値段は70万円という。1億円が70万円に萎む。

 寿美が文句を言う。巴屋の主人が言う。そんなに高値で売りたかったら自分でパリに行き売ったらと言う。主人は自らのコレクションの一つとして購入するだけ。

 ショックを受けた寿美は、高知市に住んでいる短大時代の友達と70万円が手に入るのだからと散財し、夜も飲み歩いて、友達の家に泊まる。

 朝方家から電話があり、夫の勝彦が海で遭難したことを知る。
慌てて帰宅すると、岩に夫が打ち付けられ亡くなっていると消防団員から言われる。何と自分は罪深く、悪い人間だと思う。

 うちひしがれていると、漁協の勤め人から、勝彦が5000万円の保険に入っていたことを知らされる。思わず寿美に笑みがこぼれる。

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