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川端康成   「乙女の港」(実業之日本社文庫)

この作品は、主人公三千子をめぐって、美しい上級生洋子、克子が織りなす物語。その物語の舞台は外国の香りがわきたつ国際都市横浜のミッションスクール。昭和12年から13年にかけて当時の少女雑誌「女学生の友」に連載され、その後本になり大ベストセラーになっている。

 作品はS小説とも百合小説ともいわれている。Sとはシスターの意味。上級生の女の子と下級生の女の子が1対1のカップルとして交際することを描く小説。親しくすると言っても、同じ服を着たり、髪型を同じにしたり、交換日記や手紙のやりとりをする他愛もないもの。だけど親友同士というより、もう少し結びつきが強く、恋人同士と言ってもよい。

 当時は男女7歳にして席をおなじうせずと言われ、思春期の女子学生が恋愛をできる環境にはなかった。しかし感情の発露はとめることができないため、Sの関係が代わりに出来上がった。この関係は、たいがい学校を卒業すると消滅した。

 私の小さいころにも聞いた言葉、羅紗面(横浜で外人を相手にする妾)やアマ(女中のことを言うが、横浜では洒落てアマと言った)が登場してなつかしかった。

 それにしても、あの川端がよくもこんなS小説を書けたものだと感心していたら、実はこの小説、原案があった。この作品の下書きを書いたのは、日本で初めて女性作家として「乗合馬車」で芥川賞を受賞した中里恒子である。そして、主人公の三千子は中里がモデルで上級生の洋子も実在のモデルがいたそうだ。

 川端は中里の下書きに大分手を加えてこの作品を世にだした。

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| 古本読書日記 | 06:08 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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