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湯本香樹実   「夜の木の下で」(新潮文庫)

主人公は、女子高校時代を今思い出している。それほど仲が良かったわけではないカナちゃんと主人公は、誰もがいやがった使用済みの女子生理用品を焼却炉まで持ってゆく役割を担っていた。一週間に一回、用務員の部屋から空箱のダンボールを持ってきてそれに生理用品を詰めて焼却炉まで持ってゆく。

 思春期は揺れ動き、憂鬱な時を過ごす。特に高校卒業後の進路だ。カナちゃんは、両親に「女は、4年生の大学なんかに行っても何もならない。」「短大だったら行かせてあげる。」と言われている。

 主人公は、それで将来食べていけるとは思っていないが、好きな絵画をしたいと思っている。でも本音は、無理だから国立大学に入って泊をつけて、いい会社に就職しようかとも密かに思っている。

 でも、カナちゃんは言う。出版会社に入って絵本をつくるのだと。そして主人公に絵を描いて欲しいなと。

 主人公も、カナちゃんも、あまりに非現実的なことを思い、そんな大きな壁が生理用品と一緒に「燃えろ。燃えろ。」と叫ぶ。

 そしてカナちゃんは有名私大に受かったが、短大にはいり就職。そこで知り合った人と結婚している。

 主人公は、国立大学受験に失敗して私大に入ったが、もう一度受験をして国立大に入り直し、大学院まで行くが、絵を忘れられずに未だに絵を描いている。こんな状態で、今までの人生の3倍を生きてゆかねばならぬという恐怖に慄いている。

 そんなとき、高校時代の同級生ノリコが死んでしまう。久しぶりにその葬儀の場で主人公とカナちゃんが出会う。

 行きたい大学に行けなかった。絵にしがみついて未だにふらふらしている主人公。そんな間に亡くなってしまう同級生がいる。

 「燃えろ。燃えろ。」と叫んでいた青春の揺動は、まだ燃え尽きず、心のなかにこびりついている。その青春の揺動を引きずって、長い人生をこれからも歩いていかねばと主人公は思う。

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| 古本読書日記 | 06:03 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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