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アンソロジー     「共犯関係」(ハルキ文庫)

色んな事件が起きる。その事件が、予め共犯でおこされたものや、結果として共犯になっていたもの、そんな共犯をテーマで書かれた短編を収録した作品集。

 主人公の僕が小学校5年生のとき、家族で旅行、その帰りの途上、外人の女性が運転する車がセンターラインを越え、僕の乗っている車にぶつかってくる。正面衝突。そして僕だけが奇跡的に命をとりとめ、他の家族は全員死んでしまう。

 僕は命をなくすことは無かったが、不治の病であるケストナー症候群に罹ってしまう。この病気は運動神経が筋肉に渡らなくなる病気。最初は何の症状もない。しかし急性期がやってくると、一気に筋力が衰え、3か月以内には完全に死んでしまう。急性期はいつやってくるかわからないが、少なくとも3年以内には確実にやってくる。僕は今から3年以内遅くとも中学2年生までにはこの世を去るのである。

 孤児となった僕は親戚である秋庭家に引き取られる。

秋庭家では両親、年上の女の子ひよりが、僕の運命を悲しんで、これ以上ないという親切で世話をしてくれる。学校でも、僕の病気のことはみんな知っていて、熱い優しさで気を使って接してくれる。

 そして中学2年になって、いよいよ急性期がやってきた。歩いていて、しょっちゅう力が抜け、突然倒れる。余命3か月。秋庭家の家族と一緒に、最後の旅行ディズニーランドにでかける。そのディズニーランドを最後の夜ひよりと抜け出し、新幹線で京都に行く。

 ある山の上の湧き水を飲むと難病が治る。その山の上までひよりが車いすを押して連れて行く。傾斜が厳しく、力一杯踏ん張らないと、ちょっと力を抜くと、車いすもろとも坂を転げ落ちそれだけで死んでしまう。やっとのことで頂上につき、ひよりが水を手の中に汲んできてくれてそれを飲む。ひよりが僕を強く抱きしめ「死んじゃいや。」と声をあげる。そして僕最初で最後のキスをする。

 ひよりの父親も医者に必死に訴える。
自分の手足を僕に移してくれ。僕を助けてくれたら、自分は死んでもいいと。

 ところが僕に奇跡が訪れる。不治の病が突然治ってしまったのである。
奇跡が起きた時は、秋庭家の全員が心からよかったとお祝いまでしてくれた。しかし、それから、僕との会話が少なくなり、態度もよそよそしくなる。懸命に支えてくれたひよりは全く声をかけてくれなくなった。学校でも誰も声をかけてくれなくなる。

 息の詰まる状態が続く。その先にとんでもないことが待っていて、一気に打開されたと思えるのだが、とんでもない真相が隠されていた。

 死を宣告された人がよみがえった時の戸惑い、混乱が見事に描かれている似鳥鶏の「美しき余命」である。

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| 古本読書日記 | 06:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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