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米沢穂信     「満願」(新潮文庫)

この短編集はすごくて、2014年刊行されたが山本周五郎賞を受賞したほか、「このミステリーがすごい!」「ミステリーが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」いずれも一位を獲得、3冠王に輝いている。

 どの作品も丁寧な筆致で、山本周五郎作品を彷彿させる。すべての作品が高い水準に達しているが、会社人間だった私には「万灯」が身近に感じた。

 今でも、会社の不正が露出して、新聞をはじめマスコミを賑わしている。社会人としてより会社人を優先して行動する人たちが絶えない。私もアジアの国々で仕事をした経験を持つが、この小説のバングラディッシュのように、主人公が赴任した日に事務所が停電。しかしまわりをみると、電気がともっている。事務所だけが電気をとめられているのである。これは、早く賄賂を収めにこいという合図。現地のスタッフが言う。

 明日からはガスも水道も止まるでしょうと。
こんな場面を読むと、悪戦苦闘した昔日がよみがえる。

 会社の儲けのためなら人を殺す。今は暴力団でも、こんな考えをする人は存在しないと思うが、この作品の舞台だった昭和50年代、エネルギー資源獲得競争が熾烈な時代は、バングラディッシュの小さな村の村人を殺害して、資源を勤める会社独占のためひいてくるということは、行われてもおかしくない時代のように思える。

 殺害は主人公とフランスの会社に勤める日本人の2人で行われる。村人の殺人は、村の長老が抑えてくれるから犯人されることの可能性は少ない。

 それで大丈夫だと思っていたら、一緒に殺人を犯した日本人が、フランスの会社を退職。
これはまずいと主人公は緊急で日本に帰国し、彼をおびきだして、車で殺害。地中に埋める。
 これで、真相は闇のなかとなると思っていた。

しかし、バングラディッシュで人殺しをしたとき、村の長老の家で生ぬるいチャイ(茶)ふるまわれ、主人公と主人公が殺害した日本人が飲む。これが、すべての事件を表出させることになる。なかなか面白く読んだ。

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| 古本読書日記 | 20:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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