FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

貫井徳郎   「妖奇 切断譜」(講談社文庫)

九条、朱芳コンビが活躍する明治初期を扱うシリーズ第2弾。

明治の初め、まだ江戸の匂いが充満しているころ、鈴木春水という画家がとびっきりの美女を描いた、今様三十六歌仙という美人画が爆発的に売れていた。

 ところがそのモデルとなった女性たちが、身体を切断され殺され、手足や胴体だけが別々の稲荷神社に残されるという事件が発生する。

 しかも、36人の美人のうち、更に6人がその人気により大美人となり、その6人のうち4人が殺される。更に5人目が殺害されるのではと思い、警察がはりついて5人目殺害を阻止しようとするのだが、5人目は6大美人以外のモデルが殺害され、事件は混沌としてくる。加えて、作者鈴木春水の書生春朝も殺害される。

 殺害された5人の女性に関連があるか。

最初のお菊はそば屋の娘。次のお咲は古着屋の娘、次の珠子は公家の娘、そしてお美代は下駄職人の娘、そして最後は琴菊という芸者。
 まったく関連はないように思えるが、一人だけ違和感を覚える女性がいる。

皆川博子さんの小説「花闇」で私は知ったが、幕末から明治にかけて大きな人気を博した歌舞伎役者、3代目澤村田之助、彼の生きざまがこの作品のヒントになっている。この澤村田之助は重い糖尿病を患い、壊疽になった両足を切断したが、それでも舞台にたち続けたことで有名な役者であった。

 それから春水の書生である春朝が、絶世の美男子で女性を引き付け離さない。

この3つが事件を解く鍵となっている。
 江戸から明治にはなりきれない混沌とした人生模様が、ミステリーという形を経て描きだされる。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ


| 古本読書日記 | 06:31 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT