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萩原浩   「冷蔵庫を抱きしめて」(新潮文庫)

ありふれた日常を描くが、そこに奇跡のような一瞬が起きる。そんな、ことを描いた短編集。

「目は口ほどに物を言う」ということわざがある。確かに目は喋ることと同じくらい表情を発する。しかし、口というのも、喋らずとも、目以上にものを言う。

 馬鹿にして大口を開けて笑う。しまりがなくよだれを垂らす。一文字に結んで怒りを訴える。小馬鹿にして端をつりあげる。結構私たちは、目より口の動きをみて相手の感情を読み解いているのではと思う。

 主人公は、会社8年目で、風邪をひき会社を休む。治りかけの時、出社をするのだが、皆に風邪をうつしてはいけないと思い、マスクを買いにゆく。知らない間にマスクの変化、進化が異常に進んでいる。
 「三次元マスク」「超立体マスク」「三層構造高密度フィルター」「プリーツタイプ」「不織布採用」「ダブルフィルター方式」「0.1μmの微粒子を99.9%カット」など。
 そしてこのマスクをかけても、完全に顔面にフィットして全く違和感がない。

 主人公は、顔に全く自信がなく、小中学校のとき馬鹿にされたことがトラウマになっていた。ところがマスクをかけて出勤すると、通勤途中で誰かに会っても、全く気付いてくれない。

 商談でも「いやだなあ」「あのバカはなんてこと言う」とつぶやくのだがマスクをしているから、相手に悪感情がわかない。

 こうなると、風邪がなおっても、花粉症の季節が過ぎても、マスクをはずすことができなくなる。それどころか、顔を隠したくて、紫外線をカットするために薄いブルーがはいっているゴーグルタイプの眼鏡までするようになる。

 これをいくら注意されても、はずせない。だから、会社も解雇される。
すると顔面隠しは更に嵩じてガイ・フォースの仮面をつけて生活するようになる。

 そして、今は出身の静岡県の小都市でご当地キャラクター「ウナマッチャ」に変身して、保育園をまわっている。

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| 古本読書日記 | 05:43 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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