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伊岡瞬    「代償」(角川文庫)

これは力作だ。ストーリーも悪魔のような主人公圭輔の同級生達也が、圭輔の家に出入りするようになってから、お金や母親の下着がなくなることが頻発して、もう達也を圭輔の家には入れないと決め、ずっと守って来たのに、達也の両親が大阪に1週間ほどでかけるため、達也を預かって欲しいと頼まれ、それを両親が受け入れたところだけが不自然だと思ったが、それ以外は非常に読ませ質の高いものになっている。
 手に取っていただき、その質の高さは味わってほしい。

ひとつだけ強く印象に残ったことを記す。

 圭輔の家庭を破壊し、圭輔をいたぶりつくした道子、達也親子。その達也が。勤務怠慢で馘首された運送会社に押し入り、そこにいた従業員を殺し、お金を奪った、逃走の目撃者もいて、達也は逮捕され一旦は犯行を認めるが、あるとき一転容疑を否認する。
 当初は国選弁護人をたてたが、突然達也が、その時新米弁護士になっていた圭輔を弁護人に選任する。

 圭輔は当然、達也が無罪という立場にたって弁護をせねばならない。達也が無罪になるためには、犯行時間に達也のアリバイがあるかが重要な鍵となる。

 そのアリバイが証明できず、苦戦していると、犯行時間に達也とホテルにしけこんでいたという女性紗弓が現れる。紗弓のところには警察も訪ねたが、別に恋人がいたため、本当のことが言えなかったと紗弓が言うが、法廷に証人としてたち、達也とホテルにいたことを証言するという。

 圭輔は、この証言が裁判員や裁判官にどうとらえられるか不安はあったが、これでかなり無実に近くなったと思う。

 ところが公判前審議で検察側が証人要請をし、それが驚くことに紗弓だという。
紗弓は法廷で証言する。
 「達也とその時間あっていないし、達也とは2-3回会ったことはあるが、男女関係は無い。」と。
 更に
  圭輔に、「達也は同級生で何とか無罪にしてあげたい。それでホテルで会っていたと証言をしてほしいと頼まれた」という。

 こんなことを創り上げる伊岡の想像力に感服する。

絶体絶命のピンチ。これをどう突破するかがこの小説のよみどころ。

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| 古本読書日記 | 06:04 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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