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柚月裕子    「孤狼の血」(角川文庫)

柚月は深作欣二が監督した「仁義なき戦い」に完全にノックアウトを食らい、魂を取り込まれた。それで、この作品を創り上げた。
しかし、この作品が女性作家により創り上げられたことに驚愕する。警察、暴力団を扱ったもの、或いはハードボイルド小説は、硬骨感たっぷりの男性作家が創り上げるものだが、そのあまたのハードボイルド作家の上を行く作品になっているからたいしたものだ。

 新米刑事の日岡は、暴力団を取り締まる捜査二課に配属され大上刑事の下につく。この大上、検挙人数、件数も他の刑事より圧倒的に多く、表彰もたくさんされているが、44歳になるにも係わらず、役職は主任。逮捕検挙数は多くても、暴力団と癒着して違法捜査を繰り返すからである。

 暴力団のフロント企業である金融会社の社員が失踪する事件をきっかけに、暴力団同士の戦いが勃発しようとする。大上は、抗争を勃発させないために仲裁にのりだす。一方の組の情報を武器にして、仲裁をしようとするが、大上は途中で失踪、殺人死体となって発見される。

 日岡は、しょっちゅう違法捜査、癒着の現場につきあわされ、辟易としている。

 大上は高校のころは不良学生だった。先生に就職をどうするかと聞かれやくざになると言う。
先生がバカタレと怒る。
「やくざというのは、利口でなれず、馬鹿でもなれず、中途半端じゃなおなれず、いうんがやくざの世界じゃ。おまえみたいな向こう見ずのやつは、殺されるか一生刑務所暮らしになるかどちらか。いっそ警察官になれ。」と言われ警官になった。

 しかし、次の大上の言葉は、一瞬そうだとうなずくが、よく考えるとそれはないなあと思う。
「世の中に暴力団はなくなりゃせんよ。人間は誰でも、飯くうたら糞をひる。ケツ拭く便所紙が必要なんよ。言うなりゃ、あれらは便所紙よ。」
「わしらの役目はのう、やくざが堅気に迷惑をかけんよう眼を光らせておることじゃ。あとはやりすぎた外道を潰すだけでええ。」

 暴力団は必要悪である時代は終わった。是非警察には潰してもらうことを望む。

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| 古本読書日記 | 06:19 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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