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中島たい子   「おふるなボクたち」(光文社文庫)

今よりだいぶ未来の話。短編集。

心臓移植を受けた主人公。その前後で行動、生活が変わる。手術2週間後、その変化に驚き、手術を受けた病院に行く。

 手術前は肉を食べることができずカレーも肉をより分けて食べていたのに、手術後は欧米人みたいに肉、肉と言って毎日ステーキを食べる。普段は家でごろごろしていたのに、手術後はいつも目がギラギラしていて、やたら外出をする。漫画ばかり読んでいたのに、今は新聞を熱心に読む。

 以前は心臓移植をすると、移植した心臓の元の持ち主の性格が移るということが信じられていたが、今は、移植臓器は人工のものがすべてで、生の心臓が移植されることはなくなった。だから、性格が移るということは考えられない。と、思って読んでいくと中島さんの発想が面白い。未来では、人口臓器が普通で、中古市場も一般的になる。つまり、主人公に移植された人工心臓は中古で、前の使用者の性格が移ってきてしまったのだ。


 別の作品。

 我々が見ている星は、数億年前、或いは数千年前のものだ。望遠鏡で見て捕えた粒子は大昔のもの。その望遠鏡に乗り、過去の世界にゆく。そこで、起こっていることを変えてはいけない。それをすると今が変わる可能性がでてくるから。だから物語に登場するニセ博士は、未来に影響を与えることのないと思える、タワシや古びて捨てられていたやかんを過去から持ち帰ってくる。

 しかし、ニセ博士の暮らしている未来は人間の免疫力、抵抗力が落ち込み、もし細菌でもはいってきたら人間は死滅するかもしれない状況になっている。しかも生殖能力も衰退していて、めったに子どもが生まれるということもなくなった。

 そこでニセ博士がある人間に依頼して、未来に影響が与える可能性のない健康な人間を過去から拉致してくるようにする。
 その人間の細胞を増殖させ今の人間に移植して、元気で生殖機能が強い人間をつくる。それにより人間の滅亡を防ぐ。

 派遣された男は、3人の候補者に出会う。一人目はホームレスの男で、3日後に死んでしまう。しかし健康人間とは思えないので拉致をやめる。2人目は認知症を患っているお婆さん。このお婆ちゃんも認知症を持ち込む恐れがありやめる。
 3人目は道路工事の作業員。若くて、健康体。しかし、人生の生きてゆく目的を喪失していて数日後には自殺する。

 これはピッタシな人間。だけど派遣者は彼を連れて来なかった。その代わり、自殺をやめさせた。つまり、過去を変えたのだ。ここからは、一気に未来の今に飛ぶのだが、その過去を変えたことにより、人間は元の免疫力や抵抗力を取り戻し、生殖能力もとりもどすことができた。

 過去を変えてみたら今がどう変化するかという逆発想がユニーク。

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| 古本読書日記 | 06:25 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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