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宮木あや子    「セレモニー黒真珠」(MF文庫)

宮木あや子が創作するお仕事シリーズの連作短編集。

今回の舞台は街の小さな葬儀屋「セレモニー黒真珠」。29歳なのに42歳にみえるという笹島、21歳なのに35歳にみえる妹尾。それに死んだ人が見えるという、喪服がやたらに似合う木崎。この3人が織りなす物語である。

 みんな変わり種。笹島は最初の就職が、葬儀屋でなく結婚式場。元来明るく接客にむくタイプ。だから担当した結婚式では、必ず新婚夫婦から丁寧な礼状をもらっていた。ところがあるカップルから礼状が来なかったことにショックを受け、結婚式場を退職して葬儀屋に転職した。

 妹尾の話が悲しい。16歳のとき父親が蒸発。母親はヤク中の更生施設に入って一年後に首を吊って自殺。高校に行くこともできず、年齢をごまかして風俗に勤める。雪寅にあったのは風俗3店目のコスプレソープ。

 殆どの客が、通り一遍のようにソープ嬢になった経過を聞くが、親身になることはなかった。しかし雪寅だけは真剣に聞いてくれて、それから毎週通ってくるようになり、2人は恋におちる。

 そして雪寅から、俺のお袋に会ってくれ。俺はお前と一緒の墓に入りたいと言われ、妹尾は、夢のようになり、この人についてゆきたいと思う。

 しかし雪寅の母親が興信所を使って妹尾を調べ上げ、とても妹尾を嫁にはもらえないと妹尾を拒絶して2人は泣く泣く別れた。

 そして今日、通夜と葬儀を依頼してきた四ツ倉家の亡くなった人は34歳で死因は多発性骨髄腫。実は、妹尾はそれが雪寅であることを知っていた。雪寅に死に水はお前にとって欲しいと妹尾は遺言され、それで黒真珠に派遣として入社してきたのである。

 通夜が終わり、参会者がだれもいなくなった葬儀場で、突然、灯りがともり、笹島がマイクを持って声をあげる。

 「新郎新婦のご入場です。皆さん盛大な拍手をもってお迎えください。」と。木崎が思いっきり拍手をする。そして木崎の乾杯の音頭と祝辞が続く。

 棺に納められている雪寅と妹尾にスポットライトが浴びせられる。心暖かくなる短編である。

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| 古本読書日記 | 06:13 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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