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池井戸潤     「銀翼のイカロス」(文春文庫)

2009年7月腐敗しきった自民党政治を終了させ、しがらみのないまっさらがキャッチフレーズの民主党が政権を奪取した。この物語で言えば、憲民党が進政党に切り替わったときだ。

クリーンな政党を標榜していた進政党だが、党の実力者である箕面は、舞橋市の林野に飛行場ができることを知り、東京第一銀行から自らのファミリー企業に無担保で20億円の融資をさせ、その資金で林野を買い取る。その林野が空港建設用地として買い上げられ箕面は莫大なお金を手にする。この融資は担保もなく、稟議もない問題融資。東京第一銀行が組織的に仕組んだものである。

 東京第一銀行のトップが行う不正。そして政治家への闇献金。進政党はクリーンどころか真っ黒。

 2009年当時は、悪は自民党、官僚、そして銀行だった。マスコミは連日この悪を攻撃していればよかった。官僚から政治を取り戻す。官僚統治を破壊する。銀行は、貸し渋り、貸しはがしで中小企業を見殺しにする。

 物語の中心に帝国航空が登場する。日本航空を思い起こさせる。憲民党時代に、倒産寸前だった帝国航空を再建する計画を銀行団がタスクフォースを組み創り上げる。これが、最も適切で有効な計画であったにも拘わらず、進政党は、憲民党のすべてを否定するということで、白井国土交通大臣の元に怪しげな弁護士を長として、帝国航空再建案をと作る諮問員会を立ち上げる。

 銀行団タスクフォースチームは、多少の資金を貸し出すが、現状を改革して再建の道を示したが、弁護士率いる諮問委員会は銀行に対し70%の再建放棄を要請してきた。

 銀行は、倒産寸前の時、国民の税金を使って救済をしてもらった。日本の代表する帝国航空を破綻させていいのか。銀行は救済をしてもらった重みを考え債権を放棄しろと迫る。

 銀行も、政治家と癒着していかがわしい融資をしてきた。その暴露が恐ろしいから、諮問委員会の要求を飲まざるを得ない雰囲気になる。

 ここに我らがヒーロー半沢直樹が登場する。頭取になり替わり、債権放棄要請を政治家に対峙して拒否する。この場面が半沢シリーズの胸がすく場面だ。

 しかし、日航の再建は、5000億円以上の債権放棄がなされ、更に3500億円の税金を投入して行われた。半沢は現実には存在しなかったのである。

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| 古本読書日記 | 05:59 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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