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楡周平    「朝倉恭介 Cの福音完結編」(講談社文庫)

1970年代から盛んにになったハードボイルド小説。北方謙三、船戸与一、逢坂剛、大沢在昌、藤田宣永が登場して、冒険小説が作られそれがヒーロー小説に展開、その後衰えることなく、90年代、鳴海章、真保裕一、藤原伊織を生みだし、更に乃南アサ、高村薫、桐野夏生の女性陣作家も加わり、まさに「ヒーロー小説」が全盛時代を迎えた。

 この作品も、その「ヒーロー小説」の系譜にのり、ヒーロー朝倉恭介はその頂点に立つ。

朝倉を頂点とする、最近のヒーローの特徴は、人生に絶望して自ら犯罪者の道に進み、自分以外に信じるものはいず、孤独な一匹狼となる。更に挫折したエリートという矜持を持ち失う物は持たないという強靭な男という特徴を持つ。

 ヒーロー朝倉は、商社勤務の父親を持ち、ロンドンで生まれ、その後ニューヨークに移る。学業も優秀で将来を約束されていたのだが、両親を交通事故で失うことで人生が暗転する。

 ミリタリースクールに通いトップの成績で卒業するが、路上で暴漢に襲われ、反撃し2人の暴漢を殺害してしまう。正当防衛で無罪にはなったが、これでまともな道を行くことができなくなり、イタリアマフィアの一員となる。この朝倉シリーズで楡は繰り返し朝倉の背景を書く。ここが共感を呼び、私たちは朝倉と一緒になって物語を読むことができる。

 この物語は、朝倉が築いてきた日本でのコカインビジネスシステムを日本で起用していた田代という男に裏切られ、田代を排除して、最後の取引に朝倉自らが行うことから始まる。

 コカインを積んだ船が嵐で遅れ、コカインを抜き出す倉庫をCIAや朝倉のライバルであるカメラマンの川瀬、日本の警察に知られ、その3つの組織、個人と闘いながらコカイン奪取をする朝倉との闘いが物語の白眉。

 最後、朝倉が海に沈んで亡くなったように装い、シリーズ終結となるが、多分朝倉は死んでいなくていつか忽然と復活することになるように思う。

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| 古本読書日記 | 05:52 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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