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村上春樹 安西水丸   「夜のくもざる」(平凡社)

掌編小説集。

主人公は徹底的に留守番電話が嫌いだ。ところが母親が留守番電話機能つきの電話を購入した。それで頭にきてわざわざ母親の家まで文句を言いにでかけた。

 玄関でチャイムを鳴らす。ドアを開けるとそこに留守番電話がたっていた。留守番電話が言う。
 「こちらは6694の7984の奥田ですが、ただいま留守をしております。ピーっと鳴りましたらご用件を吹き込んでください。」と。そして留守番でんあ電話がピーっという。

 「冗談じゃないわよ。お母さん私は留守番電話が大嫌いよ。だいたい成り立ちからしておしつけがましいし、一方的じゃない。そんなものにいちいちメッセージなんか吹き込むつもりなんかないからね。」と留守番電話に怒鳴る。

 よくよく留守番電話をみると母親に似ている。
それで少し言い過ぎたと思い、
 「何もあなたを個人的にどうこう言うつもりはないのよ。私はね、ただ留守番電話自体があまり好きじゃないのよ。だから別にあなたのことを傷つけるつもりじゃなくてお母さんにむかって言っているだけなの。」

 留守番電話が言う。
「かまわないのよ、恭子さん。そんなに気にしなくていいのです。私たちはどうせ留守番電話。何と思われても、何を言われてもしかたないところはありますもの。」
少し留守番電話にシンパシーが沸く。

留守番電話がちょっと上がっていきなさいよ。虎屋の羊羹があるのよと言う。
主人公は、靴を脱いで上がる。だって虎屋の羊羹が大好きだから。

こんなすこしシュールな物語が満載の作品集である。

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| 古本読書日記 | 05:56 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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