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長野まゆみ    「チマチマ記」(講談社文庫)

何回も1ページ目に図示されている宝来家の家系図、登場人物の関係を立ち返って確認しないと混乱してしまうほどに複雑。平均的家庭とは程遠い。

小巻お母さんの夫、ドードーさんはすでに亡くなっている。どーどーさんと先妻との間にできた長男樹さんが今の当主なのだが単身赴任をしていて不在。

 母屋に暮らすのは、小巻おかあさん、実子であるカガミさん。樹さんの娘であるイラストレーターの暦さん、それに樹さんの娘である小学5年生のだんご姫。

 更に母屋と棟続きの離れには、近所に住むドードーさんの先妻。暦さんと樹さんの母マダム日奈子が毎日出入りし、その2階には樹さんと事実婚していてパリに住んでいるカホルさんの弟で、カガミさんの中学高校の先輩であるサラリーマンの桜川くんが間借りしている。これだけ複雑な関係の上に、カガミさんと桜川くんは男同士で恋愛関係にある。

 だからしばしば、摩擦がおきる。
普通の小説はその出来事をできるだけデフォルメして大げさに表現。それで読者を引っ張る。

 しかし、長野さんの小説はそんななかにあって、実に優しく、穏やかである。実際には、そんな大げさなことは起こることはめったになく、チマチマしたことが日々積み重なってゆくだけと長野さんは物語を描く。

 その穏やかさを包み込んでいるのが、四季折々に小巻おかあさんを中心に作られるおいしそうな料理の数々。この料理の中に、ちょっとしたいざこざやトラブルがスーッと吸い込まれチマチマした日々が繰り返されてゆく。

 長野さんの、細部にまで行き届いた穏やかな文章が読んでいて心地よい。

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| 古本読書日記 | 06:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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