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いしいしんじ    「四とそれ以上の国」(文春文庫)

四国を舞台にした5つの短編集。どれもいしい独特の世界を描き、読者は自分を捨てて、いしいワールドに自らを投げ出さないと、何を描いているのかよくわからず、読むのが辛い作品集になっている。

 その中で「渦」が比較的のめりこみやすくいしいワールドを楽しみやすい作品になっている。

 トラック運転手をしている主人公。休みをとった弟が入院している病院の看護師3人とともに徳島の渦潮を見に来る。その記念館で、正岡子規の句碑「うずの詩」をみる。

 渡りかけて鷹舞う阿波の鳴門かな

正岡子規はわずか35年の生涯の間、23000もの俳句を読んでいると書かれている。主人公はこの句を繰り返し読む。そのうちに「鷹舞う阿波の」が「たかまうあわの」に変化し、

「たかまうあわの、たかまうあわの、たかまうあわの」とぐるぐる頭のなかでまわりだす。記念館のボードには、記念館を訪れたひとたちが作った句がおびただしい数で貼られている。

 主人公は5,7,5と思う。すると、どの句も5,7,5  5,7,5  5,7 5,7 7,5とぐるぐるまわりだし、何万何千と作られた句の渦の中に正岡子規が無限に小さくなり消えてゆく。

 この後、3人の看護師が5人の荒くれ男に車に詰め込まれ、この5人を相手に主人公が戦う。そして、拳で主人公が男たちを殴る。その度に男たちは遠くに飛び、消えていったかと思われると、またかなたからとびでてきて男と対峙する。渦潮と闘っていると思われる場面が続く。

 いしいマジックに取り込まれてこの作品を読んでいると、自分までが渦潮になってぐるぐる回り続けている錯覚に陥る。頭も身体もくらくらしてくる。

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| 古本読書日記 | 06:00 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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