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馳星周     「クラッシュ」(徳間文庫)

1997年から1999年の間に発表した短編集。馳の出世作品「不夜城」が発表されたのが1996年だから、馳初期の作品集である。

 馳作品の特徴といえば、強烈なノアール小説である。最近馳作品を集中して読みだしたが、初期の作品は内容のわりに、どす黒さや邪悪さがそれほど強く感じない。

 どうしてだろうと考えながら読んでいたのだが、この短編集を読んでそれがわかったように思った。

 例えばこの作品集でベストといわれている「ジャンク」。

主人公のヨシオは15歳の少年。父親は愛人を持ち、家をでている。いつも母親に抱かれて生活している。

 母親の財布から金を抜き取り、渋谷の街にでる。そこで、拾った優子をSMもどき行為で徹底していたぶる。倒れて起き上がれない優子の免許証を見て住所を暗記し、携帯電話の番号を登録する。

 郵便屋を装って優子の部屋に行き、優子を縛り上げ、またいたぶる。そこへ、優子の男が帰ってくる。それが何とヨシオの父親。その父親もヨシオは縛り上げ優子とともにいたぶる。

 どくどくしい内容なのだが、表現は実にさらさらしていて、どくどくしさは伝わってこない。

 ユウコとの情交を終えてから、ヨシオが優子の住所を盗みみるところ。

化粧品道具一式。携帯電話。システム手帳。財布。名刺入れ。システム手帳に挟まれた免許証。
 松井優子。住所は三鷹。年齢は二十三。ちょうど一か月後が誕生日。

読んでわかる通り、すべての表現が体言止め。他の文章も短く、情景をさらっと描く。
ちょうど、録画のコマ送りのような文章。

 これが、良いか悪いかはよくわからないが、確かに他には見られない文体、表現である。

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| 古本読書日記 | 05:47 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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