FC2ブログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

馳星周    「夜光虫」(角川文庫)

主人公の加倉はプロ野球でノーヒットノーランを成し遂げたことのあり将来を嘱望されていた投手だったが、肩を壊し大きな借金も作ってしまい、活路を求めて台湾プロ野球に入団する。

 台湾プロ野球は、八百長が蔓延していた。台湾野球賭博には、中国、香港、マカオから膨大な賭金が流れ込み、一試合で数億円の金が動く。賭けに勝てば一晩で数億円の金を得るが、逆に負ければ数億が一晩で消える。だから、選手に八百長をさせ、選手にも多額な報酬を与える。

 選手の給料は少ないのだが、この成功報酬がでかく、八百長に染まった加倉でも、すでに5000万円以上のお金が地下銀行には貯まっていた。

 この八百長の元締めが黒星という台湾暴力団マフィア。このマフィアが幾つかあり、対立するマフィアの間に入って加倉が滅亡してゆく過程を作品では描く。

 ここに、黒星だけでなく、加倉を追いつめる王刑事が、加倉の弟だったり、父親で加倉の付き人である王東谷が、実は黒星の重鎮だったりして、物語は重層になって展開し、中味の濃い内容になっている。

 通常このタイプの小説は、格闘、殺し合い場面を執拗に、鋭い言葉を多用し描いたり、女性との情交場面を読者を興奮させるべき、たっぷりと描くが、この作品は実にその場面はあっさりとしている。

 それが、物語にスピード感を与え、800ページを超える大作を興奮しながら一気に読ませる。
 見事なものだと感心した。この作品をものにした馳の筆力は芸術的であり、最高ランクの質の高い文学作品に私には思えた。

ランキングに参加しています。
ぽちっと応援していただければ幸いです。
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ

| 古本読書日記 | 06:10 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

COMMENT














PREV | PAGE-SELECT | NEXT