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日経連出版部編    「新入社員に贈る一冊」(日経連出版部)

各界の著名人が、新入社員に是非読んでほしい推薦本をあげその理由を綴った一冊。中味は社会人として人生の新たなるスタートを切る時こそ読んでほしい本というより、推薦する人が今まで読んだ本のなかで感銘したり影響を受けた本が殆ど。

 えっこれがと思ったのが、久世光彦が推薦した映画評論家川本三郎が書いた「マイ バック ページ」。

 本当かよと思ったのが、久世がこの本を推薦するにあたって自分の人生を振り返っている部分。人生を振り返ると、成功体験は浮かんで来ず、30歳の時には3つの挫折体験が、50歳のときには一つの大きな挫折体験が繰り返し頭に思い浮かんでくるという。

 私もこの体験を全面的に賛同するが、しかし久世のような成功した人生を歩んできた人がこのような思いにとらわれていることは不思議に感じる。だいたい、世の中栄光の道を走って来た人はごくわずか。そんな人は、栄光の記憶の余韻にずっとひたっているのではと想像していた。

 さて、川本三郎は朝日新聞記者だった。昭和47年朝霞で起きた自衛官刺殺事件の犯人を匿った罪で逮捕される。

 権力による思想統制事件だからと周囲から無実を主張するように言われたが、川本は刑罰を受け入れ服役をする。当然、朝日新聞からは懲戒免職を受ける。

 この本は川本が事件より20年経て書いた本である。20年間、何が起きても、何を発言しても、いつでもこの事件の記憶が湧き上がってくる。20年を経て、その重い記憶の頚城から解放されようとして紡いだ一冊である。

 感動的な本ではあるが、これから社会人となる人に、君にも挫折を味わうことが間違いなくあると念押しするような一冊が、ふさわしい本とは余り思えない。

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| 古本読書日記 | 05:55 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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