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北村薫    「六の宮の姫君」(創元推理文庫)

主人公の私は大学最終年をむかえ、卒論のテーマに芥川龍之介を選択した。出版社の編集部でアルバイトをしていたとき、昔芥川と会ったことがある文壇の古老に会い、王朝物作品である芥川の「六の宮の姫君」について芥川が「あれは玉突きだね・・・・いやというよりはキャッチボールだ」と言っていたことを告げられる。

 これが、どういう意味があるのか、主人公の私の追及がここから始まる。

芥川は「ぼんやりとした不安」にいつもさいなまれ神経症で悩む。そのとき、菊池寛は小説は大衆に読まれてこそ価値があると文芸春秋をたちあげ文壇に君臨し、絶頂期にあった。しかし菊池は青年の頃から粗雑者として周りから扱われ、その心の底には深い孤独感を感じていた。

 表面的には好対照の芥川と菊池が文学を通じて、孤独感の共有者として結びあった。

主人公の私は、膨大な芥川と菊池の小説や随筆、書簡集を読み、更に彼らを評論したり親交のあった人たちの書き物を読み「玉突き」「キャッチボール」だと芥川が言った真の意味にたどりつく。

 日本の古典 沙石集-(反発)-菊池「身投げ救助業」執筆-更に「頸縊り上人」執筆-(反発)-芥川「往生絵巻」執筆-更に「六の宮の姫君」執筆と玉突き、キャッチボールがなされたのである。そして驚くことに菊池がこの後「六の宮の姫君」を更に独自に執筆していたことが私の追及で発覚する。

 小島政二郎と芥川、菊池の3人で名古屋に講演旅行に行ったとき、菊池が眠れないといってジャールという睡眠薬を大量に飲む。それにより瀕死状態に陥り、2日2晩昏倒して生き返る。菊池の深い苦悩がわかる。実は芥川は自殺するときジャールとペロナールを飲み亡くなる。彼は自殺を敢行するとき、菊池の昏倒を参考にしている。これには私も驚いた。

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| 古本読書日記 | 05:46 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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