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三羽省吾   「厭世フレーバー」(文春文庫)

父親である宗之が会社をリストラされる。そして、その直後にどこかへ失踪する。母親はキッチンドランカーとなって崩れる。
 そのとき他の家族は14歳のケイ、17歳のカナ、27歳のリュウ、そして73歳の祖父新造。

 それぞれの登場人物の視点から、現状の家族や兄姉への見方、そしてとる行動を描く。同じ家族であっても、人間というのは見方、想いが異なり、互いにわからないものだとこの作品は語る。

 三羽は、追い込まれた状態になった人が、もうだめだと厭世的になったり、人生に希望を失ったとか、世の中が悪いのだと嘆き、引き籠るような人になることを嫌う作家である。

 この作品でもそうだが、ぐでぐで恨みつらみを言ってないで、登場人物に足掻けるように仕向ける。

 14歳のケイは陸上部の有力選手だったのだが、部をやめ、新聞配達をする。17歳のカナは成績優秀で真面目な生徒だったが、夜遊びをするようになったのか、いつも帰りは午前様。
しかし、カナは学校を終えてから焼き鳥屋で深夜までアルバイトをしていた。

 27歳のリュウは、父親同様、会社をクビになる。しかし、そのことは家族には言わないで、昼間は就職活動、夜はビルなどの解体現場で肉体労働をする。そして、もらったアルバイト料28万円から25万円を生活費用として母親に渡す。

 それで、この家族が幸せになるとは思えないけど、座して死を待つのではなく、懸命に足掻いていれば、局面が変わることはあると三羽は言う。

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| 古本読書日記 | 05:46 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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