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佐野洋子   「もぞもぞしてよゴリラ ほんの豚ですが」(小学館文庫)

椅子。半径50CMしか動かないのに、たくさんのお尻をのせてきた。でっかいお尻やとんがったやつ、もじもじべったらべったらするやつ、貧乏ゆすりをするやつ、おならだってするお尻だってある。

 そんなお尻を乗せる、椅子の思い出。本文の椅子の物語もすばらしいが、あとがきで書いた椅子の思い出が印象深い。

 佐野さんが初めて座った椅子は、おとうさん手作りの小さな柳でできた椅子。食事のときちゃぶだいが大きすぎてごはんが食べられないからだ。座ったお尻のところに大きく名前が書いてあった。兄の椅子にも、弟の椅子にも書いてあった。あの小さな椅子はどうなったのだろう。

 北京の小学校に入学したとき座った木でできた学童用の椅子。そこで終戦を迎えた。椅子は泥をかぶっていた。

 就職したデパートの事務所で座ったビニールとパイプでできた椅子。みんな同じ椅子に座っていたけど、部長の椅子だけひじ掛けがついていて、ぐるぐる回ることができた。

 ラーメン屋の丸椅子は、カバーが破れていてスポンジがとびだしていた。

ドイツで下宿のおばあさんがトランプをしていたビロードの赤い椅子。スペインでは、はすっぱな色っぽいおばさんがギターを弾いていた白の折り畳みの椅子。

 そういえば佐野さんが最初に座った椅子。おねしょの濡れたパンツで、佐野さんの名前はねずみ色に溶けていた。

椅子の思い出が佐野さんの人生を巡らす。

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| 古本読書日記 | 05:48 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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