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三羽省吾    「JUNK」(双葉文庫)

女性の気持ちはよくわからない。

主人公の俺は、鍵師を生業として生計をたてていた。鍵師というのは、金庫破りをするということである。ということは、大金や高価な貴金属を盗むことの片棒をかついだり、実際自らが盗みを実行することを意味していて、大犯罪をするということで、逮捕され刑務所おくりになる危険が隣り合わせにある。

 この俺は、真弓子と出会ってから、危険な鍵師をやめて、暴力団のフロントとなって、賭場のディーラーとなる。賭場といっても実際の賭場ではなく、プロ野球やJリーグ、ボクシングなど元締め。集めたお金の多くは、繋がっている暴力団に収めにゆく。賭場を開いているわけではないので、捕まる危険性はほとんどなく、お金は多く手にはいることはないが、安定した生活が保障されている。真弓子を愛するがゆえに、安定を求めたのである。

 賭けで集めたお金を暴力団事務所に収めにゆく途中で俺は、バーによる。

そのバーで、サクラという刑事に脅される。お金の入っている鞄をここに置いていけ、置いていかないと、警察は違法賭博を摘発すると。警察も恐ろしいが、暴力団と縁がきれる、そのことによる報復の方が恐ろしい。それで俺は、その恐怖のために、鞄を置いてバーをでる。

 この鞄には、盗聴器が仕掛けられていて、俺にはバーをでてからの会話が聞こえる。
真弓子の声が聞こえる。
 鍵師をやっていたころの俺は、懸命でぎらぎらしていてそこに真弓子は恋した。賭けの元締めをするようになってからは、精気がなくなりつまらない人になった。付き合いだした頃のように、熱気のある人に戻って欲しいと。

 安定より危険と隣り合わせの男に魅力を感じるということである。これが中編集の物語「嘘」での女心。

 その前の中編「飯」では、主人公の俺は、失職中のろくでなし。一方同棲中のアキは一流ホテルでコンシェルジェをしている。俺はこの状態では、必ず捨てられるし、いつアキより別れを言われても、対応できるように準備している。この卑屈な気持ちはよくわかる。こんなダメ男をアキがずっと愛を抱いてくれるわけはないと思う。

 俺は、田舎の刑務所の前にある食堂にバイトで拾われる。そのオヤジが勤め始めた2日目で心臓病で倒れて入院してしまう。

 バイトだし、これは無理で辞めようと思うのだが、アキが必至に支える。折角安定した職場を得たのだから頑張れと。愛想がつかされるはずだったのに、恋人アキの熱い恋心はどんどん強くなる。

 面白い女性の気持ちを三羽は描く。

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| 古本読書日記 | 05:55 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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