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佐野洋子    「クク氏の結婚、キキ夫人の幸福」(朝日文庫)

クク氏は3人の女性と付き合っていた。それがばれて妻に家を追い出された。特に3人の女性に恋心を抱いていたわけではないが、その3人のなかの背の高い女が、妊娠したといって、強引に結婚をせまがれ、そのまま妻と別れて背の高い女と結婚する。女もクク氏をそれほど好きだったのではないが、子供を持って、子供を育てる安定した家庭を持ちたかったから結婚した。クク氏も結婚は仕方ないことと考え、今では子供の世話を背の高い女に指示され行っている。

 キキ夫人は垣根越しにある古ぼけた家を覗いている。垣根越しにはそんな家は無いようにおもえるのだが、キキ夫人にはその家があり見えるのである。

 日焼けした古い畳の上に、女が素っ裸になり頭を向こうにしてくねくね動いている。その上にやはり素っ裸で山登りをするように男が畳を蹴っている。キキ夫人にみせつけるように、二人は抱き合う。長い交歓が終わり2人が果てる。すると2人はガラス戸をあけて並んで立ち、男は緑のコンドームを、女は赤のコンドームを持ってみせつける。

 男はキキ夫人の夫である。

 キキ夫人には、夫が不実をどこで働いていようが、すべて見えるのである。そして、夫が帰宅すると、その見えたことを細かく描写して夫に言い、怒るのである。夫はその描写が事実と完璧に合致しているため、恐ろしくなり不倫をやめる。

 クク氏夫妻もキキ氏夫妻も、暗く長い結婚生活を続けることになるだろう。そうして、老人夫婦になり、向かい合ってよくここまで持ちこたえたなあと慨嘆するのだろう。

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| 古本読書日記 | 06:21 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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