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住野よる  「君の膵臓が食べたい」(双葉文庫)

昨年の本屋大賞2位。65万部を売り、大ベストセラーにもなりテレビドラマ化され今年は映画化もされるという評判の作品。住野よる、本を読んでその内容から女性作家と思っていたらなんと男性作家と知り驚いた。

 物語は盲腸手術後の抜糸にきていた友達もいない根暗な主人公ぼくが、病院の椅子に置き忘れた「共病日記」というタイトルの日記帳に眼がとまり、中味を垣間見たら、日記には著者が重症な膵臓病になり余命一年と書かれている。その著者が、日記帳を取りに来る。見ると同級生の女の子の山内桜良というところから始まる。ぼくと桜良の熱い青春ストーリー。

 ストーリーは正直、ありきたりな内容。しかし、2人のやりとりが良い。特に桜良が実に輝いていて作品の中を生き生きと駆け回る。

 もうすぐ死ぬんだから桜良は、学校で気になって少し恋心も芽生えている、孤立していて気が弱そうで、何でも言ったらその通りにしてくれそうなぼくを引っ張って、一緒に最後にやりたいことをするのだと決意する。

 焼肉やケーキをお腹いっぱい食べる。そして、ぼくと一緒に、九州博多まで一泊旅行にもゆく。

 焼肉を食べた後、ショッピングセンターに行く。その中にあるホームセンターで主人公のぼくが桜良から少し離れて釘をえらんでいると、桜良の声が聞こえてくる。

 「すみません。自殺をするためのロープを探しているんですけど、やっぱり外傷とかおいたくないんで、その場合どのタイプが無難ですかね。」

 とんでもないジョーク。戸惑っている店員。背中が笑っている桜良。しかたなくぼくが
「ごめんなさい。彼女余命がわずかで、ちょっと頭がおかしくなっちゃてて。」
すると桜良がぷーっと顔を膨らます。
「もうせっかく店員さんに商品を紹介してもらおうと思ってたのに。邪魔しないで、もしかして私と店員さんの仲睦まじさに嫉妬しちゃったの?」

 こんな胸に応える強烈なジョークが最後まで続く。

桜良の恋を貫こうとするピュアな気持ちと、命が短いというところからくる少し屈折した言い回しが混ぜあって、切なさの中に、ひたむきな青春の熱さが読者に突き刺さる。

 「好きだ!愛してるよ!」より強く深く恋心を伝える究極の言葉はこれだ。
 「君の膵臓を食べたい!」

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| 古本読書日記 | 06:11 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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