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高野秀行    「未来国家 ブータン」(集英社文庫)

高野は自分を自称未確認動物探索家と言う。動物だけでなく、日本人が入っていけないような場所に探検、探索にゆく。そこでの、向こう見ずな行動とそれに伴って発生する大事件の凄さ、未確認動物は格闘の末発見できず、その苦労と現実とのギャップに言い知れぬユーモアとペーソスが溢れる作品を次々生み出してきた。その冒険譚に引き込まれ、高野と一緒にその未知の場所で自分も興奮しながら冒険している自分に気付き思わず苦笑することがしばしば。

 しかし、この作品は、雰囲気が今までの作品と異なる。列記とした企業の依頼をうけスポンサー付きの制限があったことが重しになっていたのかもしれないが、時には、これは事件かというように大げな描写場面もあるが、それほど驚くようなことではないのが殆ど。
 柳田国男を意識して、ブータンの村々で聞いた民話や老人の経験をゴシック体にして挟み込むが、この民話も驚くようなものは無い。

 ブータンはご存じのようにGNPに対抗するようにGNH国民総幸福度全世界一位の国とされている。しかし、この作品を読んでも、何が幸福なのか伝わってこない。最後の章で突然ブータン賛歌が始まり、我々が目指す未来国家はブータンにその基本があると言うがそれもどうも心もたない。

 ブータンでも教育の質は向上している。海外への留学も多い。教育が向上すると、それに準じた職業に人はつきたくなる。しかし、遊牧や農業中心の地方では、それに合致する職業は無い。テレビも普及してくる。するとティンプーのような都会の暮らしも全国に伝わる。

 そのとき、人々は都会へ流入することは無いのだろうか。幸せと我々が想像しているものにひび割れおきることはないのだろうか。

 少し疑問の想いが頭に浮かんでくる。

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| 古本読書日記 | 06:18 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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