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ミシェル・ウェルベック   「服従」(河出文庫)

今全世界にイスラム教信者は16億人いる。キリスト教信者に次ぐ信者数である。

現在はどちらかというとヨーロッパでは、イスラムを憎み、排斥しようという動きが強くなっているが、この物語では逆で、2022年にムスリム同胞団が登場して選挙戦を勝ち抜き、フランスでイスラム政権が誕生する。

 このムスリム政権は、現在の過激派暴力集団とは異なり、党首である国立行政大学院を卒業した、頭脳明晰な若きエリートである。国民戦線のルペンはフランス第一主義を標榜しEUを離脱し本来のフランスを取り戻すと主張するが、ムスリム政権は、EUどころではなく、イスラム圏の国々も組み入れて大統一の政治、経済圏を創ろうとする。バックにアラブ産油国の莫大なお金がある。治安もよくなり、各国の財政事情も改善される。

 イスラム教では宇宙や世界の創造主であるアラーは絶対で、しかも完璧な宇宙、世界を創ったとされる。すべての動植物は、完全にアラーの創った生態系自然摂理の原則に従い、維持発展してゆくものと消滅してゆくものができる。強く力のあるものが生き延び発展するのだそうだ。

 だから、自由、平等、民主、個人主義の西洋文明は堕落の象徴であり滅亡する運命にあると考えられている。

 アラーを中心に強いものにすべての人々は服従する運命にある。一夫多妻というのは、強く生き延びる男に女性が魅かれるのは当然の現象で、それにより多くの強い子供が生まれ、イスラム世界を発展の道へ導く。

 イスラム政権は、この考えを背景に国家を運営する。だから、ソルボンヌ大学でもイスラム教信者が支配する構造になる。こういう時代になると、キリスト教を捨ててモスリムに改宗する人間もでてくる。

 この作品の主人公のように、モスリムに改宗できない人間は、馘首されるが、政府に反逆しないようオイルマネーから十分以上のお金を年金として与える。

 こんな世界はやってくることは現実的なのだろうか。

この作品ではイスラム世界では、富裕層と貧困層の二極化を是認しているとする。富裕層がいないと音楽や絵画など芸術世界の発展がないからだと。

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| 古本読書日記 | 06:16 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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