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花房観音    「楽園」(中公文庫)

 この作品に登場する「楽園」という赤線は、花房が想像で作った場所だと思っていたが、実は京都の繁華街にかって「五条楽園」という名で存在していて、それを意識して小説にしている。赤線が廃止されて、その界隈は、風俗店や飲食店が立ち並ぶ街に変貌をとげたが、赤線そのものは細々と続けられ、2010年に摘発されるまでの長期間続いたそうだ。

 その楽園の跡地に建てられた「楽園ハイツ」という小ぶりなマンション。実はオーナーは元置屋を経営していた婆さん。

 そこに何人かの家族や、母子家庭、独身の女性が住んでいる。その中の田中みつ子が夫を事故でなくしてから「綺麗になった」と評判がたつ。実は、みつ子は近くに喫茶店を経営している鏡林悟にかどわかされて、売春をするようになっていた。更に、マンションに住む女性たちは何気ないように暮らしているが、同じように林悟にいわれ秘密に売春をしている。

 実はみつ子の娘芽似奈高校2年生も同級生文雄にそそのかされ売春をしている。その文雄をあやつっているのは林悟である。

 その芽似奈の独白がすさまじい。

「そんな自分を可哀想だという男がいた。・・女を売ると言いたがる人は多いが、そもそも私はセックスをしてお金をもらっているだけで、女という人格を売り渡しているわけではない。だから私は傷つかないし、いやな思いもしない。
可哀想と思いたいのは男のほうなのだ。どうしてこんなことをするの。きみみたいな娘が。・・・男だけでなく女のほうも、セックスを売る女に優越感を感じるために、可哀想と言いたがる。
 持てたいとか好かれたいと自意識にはまってループしている連中に、男とセックスして金に換算すれば女の価値を見出せるのだと言ってやりたい。男の精を受け止める穴があるだけで、男たちは安くない金を払ってまで求めてくるのだから。」

 強烈で身もふたもない言いぶりである。

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| 古本読書日記 | 06:26 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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